2016年スタートです。昨年12月「改正労働安全衛生法」の施行により
従業員50名以上の事業所は、ストレスチェックが義務となりました。
従業員のメンタルヘルスの不調を早期発見予防につなげる働きかけです。
義務という言葉に拒否感やピンと来ない方もおられるのでは。
ただ、ストレスチェックを受ける義務は従業員にはかされてはいません。
また、受けないことへの不利益も禁止されています。
その情報は本人の同意を得なければ事業所に伝わることも入手されることもできないことになっています。
*ストレスチェックのおおまかな流れ*
1.実施者がストレスチェック→結果評価→医師による面接指導が必要ならば直接本人に通知
2.本人から面接指導の申し出があれば→産業医などの医師による面接指導
→場合によっては医療機関(産業医と連携)
→労働者の同意により事業者に結果を通知
→時間外労働の制限、職場環境の改善などに反映
ストレスチェックの結果を会社に知られたくない方もおられるでしょう。
ご自身で他の医療機関を受診されることもあるかもしれません。
私個人的には、それでも何か早い対処につながれば良いのではないかと思っています。
ただ、産業医との面接指導や事業所への通知は、組織の中で働く人にとっては
職場の現状や体調を知ってもらう重要なサインだと思います。
個人的な問題だけではなく従業員全ての人にとって職場環境の改善が必要な場合があります。
一生懸命に一人でなんとか頑張ろうとしたものの
個人的な問題だけだと捉えられてしまうのは残念です。
仕事量の軽減や環境を改善することは容易ではないからこそ
どこの事業所も困っているし、個人の負担も増えるのです。
しかしながら、大切な従業員が元気に働ける環境こそが
結果的には事業所の功績に繫がっているのですから。
働きやすい職場に改善することこそ本当の義務なのかもしれません。
また、この義務化によりストレスは事業所がなんとかしてくれるもの・・・
でも困ります。 ストレスに関してはまず自己ケアです。
事業所では以下の4つケアを心の健康づくり計画として推進されています。
①セルフケア→ストレスへの気づきや対処、自発的相談
②ラインによるケア→管理者による理解と職場環境の改善、個別相談、指導など
③事業所内によるケア→産業医、保健スタッフ等の個別相談指導、管理者への教育・研修
④事業所外部によるケア→事業所内での対応困難などに外部相談機関の活用推進
セルフケアについては関心や意識も高くなっています。
ストレスチェックの有無にかかわらず、もっと気軽にささいな事、個人的な問題でも
事業所の内部や外部の相談機関を上手くを利用してみるという風潮になると良いですね。
ラインのケアである管理者からの気づき、気配り、声かけ、相談などの意識は
パワハラなどの問題も浮上するなか、ケアの意識が浸透しにくいのが現状のようです。
だからといって、管理者が部下をフォローしケアするのが当然では
フォローに責任感の強い頑張りすぎる管理者にとっては
部下以上につらくなることもあるのではないでしょうか?
管理者自身の負担やストレスも、逆に従業員全体も理解する必要があるでしょう。
ストレスチェックを義務化するだけでは
メンタルの不調を予防できるものではないと思います。
職場のメンタルヘルスは、個人と事業所全体の対策で乗り切っていく必要がありそうです。
参照
・厚生労働省 こころの耳 http://kokoro.mhlw.go.jp/ (働く人の為のメンタルヘルス・ポータルサイト)
・一般社団法人 日本産業カウンセラー協会 会報誌